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街で見かける背の高い丸っこいAクラスを見て、『あれも同じAクラスなの?』と不思議に思ったことはありませんか。
結論から言うと、それは初代W168か2代目W169です。いまのAクラスとは形も中身も別物で、中古で買うなら年式の古さを前提に考える必要があります。
ここでは、初代の横転事故のいきさつと、旧型2世代を中古で選ぶ時の見方を順番にお話しします。
ベンツAクラスの初代と2代目はどんな車?
Aクラスの歴史は1997年に始まります。メルセデス・ベンツが本国で初代を出したのがこの年です。
日本では翌1998年に、初代W168がA160から売り出されました。そして2005年2月に、2代目W169へ切り替わっています。
初代W168(日本発売1998年)と2代目W169(日本発売2005年2月)は、背の高いミニバン風の小さなベンツです。3代目W176(2013年1月16日発表)からは低い形のハッチバックに変わりました。
| 世代 | 型式 | 日本発売 | 主な日本仕様 |
|---|---|---|---|
| 初代 | W168 | 1998年 | A160から |
| 2代目 | W169 | 2005年2月 | A170/A170エレガンス/A200 |
| 3代目 | W176 | 2013年1月16日 | 7年ぶりのフルモデルチェンジ |
| 4代目(現行) | W177 | 2018年10月18日発表 | ハッチバック |
いまのAクラスしか知らない方には、少し意外かもしれませんね。初代と2代目は、背が高くて前が短い独特の形をしていました。
実は、この形には理由があります。床を二重にして、その間に部品を収めるサンドイッチ式の床を使っていたんです。
ぶつかった時にエンジンが床下へ逃げるようにして、小さな車でも乗る人を守る考え方でした。その分、床と着座位置が高くなり、あの背の高い姿になったわけです。
座る位置が高いので、乗り降りがしやすく前もよく見えます。小さな車なのに見晴らしがいい、というのが当時の売りの一つでした。
一方で、背が高い分だけカーブで体が振られやすい面もあります。この性格が、次にお話しする横転事故にもつながっていきます。
『ベンツなのに小さい』という驚きもありましたよね。それまでのメルセデス・ベンツは、大きなセダンのイメージが強かったからです。
Aクラスは、メルセデス・ベンツが初めて本格的に作った前輪駆動の小型車でした。この考え方は形を変えながら、いまのAクラスにも受け継がれています。
世代ごとの流れはAクラスの歴代モデル一覧で年表にしています。
初代Aクラスの横転事故(エルクテスト)とは?
『Aクラスって横転したんでしょ?』という話を、聞いたことがある方も多いはずです。これは初代W168が出た直後の出来事です。
1997年、北欧の自動車雑誌が行った回避テストで、初代Aクラスが横転しました。道に飛び出した動物をよける動きを想定した試験で、「エルクテスト」と呼ばれています。
エルクとはヘラジカのことです。急にハンドルを切って、すぐに元の車線へ戻る動きを試すんですね。
背が高く車幅の小さい車は、この動きで車体が大きく傾きやすくなります。初代Aクラスはまさにその弱点を突かれた形でした。
『大きなメーカーの車がそんなことになるの?』と驚いた人も多かったはずです。実際、この件は世界中で報じられ、メルセデス・ベンツにとって大きな試練になりました。
メルセデス・ベンツは納車をいったん止め、横滑りを抑える電子制御のESPを標準装備にしました。あわせて足回りとタイヤも見直してから販売を再開しています。
日本で売られた初代は、この対策を受けた後のモデルです。ですから『日本の初代も危ないの?』と心配しすぎる必要はありません。
とはいえ、いまの車と同じ感覚で急なハンドル操作をするのは避けたいところです。古い年式の車は、タイヤやショックアブソーバーの傷み具合でも走り方が変わってきます。
中古で買うなら、タイヤの製造年と溝の残りも見ておくと安心ですよ。
ただ、ESPが当たり前になる前の話なので、当時は大きなニュースになりました。この一件がきっかけで、小型車にもESPを付ける流れが広がったと言われています。
いまでは、横滑りを抑える装置はほとんどの乗用車に付いています。現行のAクラスも、運転を助ける装備をひととおり標準で備えています。
ですから、横転の話はあくまで初代が出た直後の出来事です。いまのAクラスを選ぶ時に気にする必要はほぼありません。
もし家族に『Aクラスって横転するんでしょ』と言われたら、こう返してみてください。
「それは1997年の初代の話で、すぐ対策されたんだって」
「じゃあ、いまの型は関係ないんだね」
このくらいの理解で十分です。現行の安全装備はAクラスの安全装備で詳しく見られます。
2代目W169は初代から何が変わった?
2代目のW169は、初代の背の高い形と床のつくりを受け継いだモデルです。見た目は似ていますが、中身はかなり手が入っています。
日本で最初に売られたのはA170、A170エレガンス、A200の3つでした。変速機には、オートトロニックと呼ばれる無段変速機(CVT)が使われています。
- 背の高い5ドアのハッチバックで、形は初代に近い
- 変速機はオートトロニック(CVT)
- 2012年5月28日に最終限定車「A 180 FINAL EDITION」(300台)を発表
- 2013年1月16日に3代目W176へ切り替わった
最終限定車のA 180 FINAL EDITIONは、W169の締めくくりとして出た300台限定のモデルです。中古で見かけたら、W169の最終型と考えてよいでしょう。
W169の中古を探していると、グレード名の違いで迷うこともありますよね。A170とA200は数字が違うだけに見えますが、エンジンや装備が異なります。気になる個体があったら、車検証の型式とあわせて販売店に中身を聞いてみてください。
W169の次のW176からは、低く構えた普通のハッチバックに変わりました。背の高い「あのAクラス」は、W169で終わったと言えますね。
W176の中古についてはW176の前期・後期の違いで詳しく書いています。
ちなみに、W169には初代にあった「乗り心地が硬い」という声への対策も入っていると言われます。初代より落ち着いて走る、と感じる人が多い世代です。
初代と2代目の違いをざっくり言うと、こんな感じです。
| 項目 | 初代W168 | 2代目W169 |
|---|---|---|
| 日本発売 | 1998年 | 2005年2月 |
| 形 | 背の高い5ドア | 背の高い5ドア(初代の考え方を継承) |
| 変速機の特徴 | AT | オートトロニック(CVT) |
| 中古で気をつけたい所 | AT・電装系・ゴム樹脂 | CVT・エンジンマウント |
どちらも見た目は似ていますが、年式が新しい分、W169のほうが選べる個体は多い傾向です。とはいえ、W169でも最終型から10年以上たっている点は変わりません。
『それなら最終限定車のA 180 FINAL EDITIONが一番いいのでは?』と思う方もいますよね。台数が少ないので、見つかれば候補にはなります。
ただ、限定車かどうかより、どう整備されてきたかのほうが大事です。年式の新しさや名前だけで決めず、記録簿と現車の状態で選んでみてください。
旧型Aクラスを中古で買う時の注意点は?
ここが一番大事なところです。初代W168は製造から20年以上、2代目W169も10年以上たっています。
古い輸入車は、どこかが傷んでいる前提で見たほうが安心です。よく挙げられる弱いところを、世代ごとに表にしました。
| 世代 | よく言われる弱いところ | 中古で見るところ |
|---|---|---|
| W168 | ATの不調、電装系、ゴム・樹脂部品の劣化 | 変速のショック、電装品の作動、内外装の樹脂の割れ |
| W169 | CVT(オートトロニック)の不調、エンジンマウントの劣化 | 発進時の滑り感、アイドリング中の振動 |
これはあくまで「そういう声がある」という話で、すべての個体に起こるわけではありません。ただ、直す時の費用は国産車より高くなりやすいことは覚えておきたいですね。
車両価格の安さだけで決めて、買ったあとの修理代で予算を超えてしまう。旧型は「買う値段」と「直す値段」を足して考えるのが基本です。
例えば、こんな場面を想像してみてください。
「この値段なら、多少壊れても大丈夫だよね」
「変速機を直すことになったら、車両代と同じくらいかかることもありますよ」
こうしたやりとりは、古い輸入車ではめずらしくありません。だからこそ、予算には修理用の余裕を残しておきたいですね。
購入前に整備記録の有無を聞いて、どこを直してきた車なのかを確かめておきましょう。
もう一つ見落としやすいのが、部品の手配にかかる時間です。古い年式の輸入車は、部品を取り寄せるのに日数がかかることがあります。
その間、車に乗れない期間ができるかもしれません。毎日車を使う方は、代わりの足をどうするかも考えておくと安心ですね。
試乗と現車確認で見るところ
旧型の中古は、写真と説明だけで決めないのがコツです。できれば現車を見て、短くても試乗させてもらいましょう。
- 整備記録簿があるか、最後の点検はいつかを聞く
- エンジンをかけて、警告灯が消えるかを確かめる
- アイドリング中のハンドルや床の振動を感じてみる
- 発進と加速で、変速のショックや滑り感がないかを見る
- エアコン、パワーウインドウ、ライトなど電装品を一通り動かす
W169の場合は、発進の時に回転だけが上がって前に進まない感じがないかを見てください。CVTが弱っていると、こうした違和感が出ることがあると言われています。
W168なら、変速のたびに強いショックがないかが目安になります。樹脂部品の割れや、ゴムのひび割れも外から確認しやすいところです。
『そこまで見るのは大変そう』と思うかもしれません。でも、ここを飛ばすと後から困るのは自分なんです。
自分で判断がつかない時は、輸入車に慣れた整備工場に一緒に見てもらうのも手です。購入前点検をお願いできる販売店もあるので、聞いてみてください。
保証が付くかどうかも、旧型では大事なポイントです。保証なしで売られている個体も多いので、購入後に壊れた時の扱いを契約前に確かめておきましょう。

旧型を買うといくらかかる?税金と維持費の考え方
旧型の維持費で気をつけたいのが税金です。新車登録から13年を超えたガソリン車は、自動車税と重量税が上がる仕組みになっています。
初代と2代目は、ほとんどがこの13年超えにあたります。購入前に、自分が払う税額を販売店に聞いておくと安心です。
任意保険料も、車の年式や型式によって変わります。乗り換えの前に、いまの保険会社で見積もりを取っておくと予算が立てやすくなりますよ。
燃料はハイオク指定の個体が多いと言われますが、年式やグレードで違います。給油口のふたや取扱説明書で確かめてみてください。
- 車両価格が手頃なことが多い
- 小さなボディで取り回しやすい
- 背が高く乗り降りしやすい
- 13年超えで税金が上がる
- 部品代と修理代が読みにくい
- 安全装備は現行より古い世代
修理費や買取相場は、個体と時期で大きく変わります。この記事では金額を断定せず、「直す可能性がある部品」を先に把握しておくことをおすすめします。
現行のAクラスと比べて迷っている方もいますよね。いまの新車の値段や交渉の順番は、Aクラスの値引き相場と交渉の順番で確かめられます。
旧型と現行、どちらを選ぶ?
結局のところ、旧型が合う人と合わない人がはっきり分かれます。目安を表にしました。
| こんな人 | 向いている選び方 |
|---|---|
| 背の高い独特の形が好き、趣味として楽しみたい | 整備記録のそろった旧型W168・W169 |
| 毎日の足として長く安心して使いたい | W176以降、できれば現行W177 |
| 予算を抑えつつ新しめの安全装備がほしい | W176後期やW177前期の中古 |
『古くてもベンツはベンツでしょ』という気持ちは分かります。ただ、通勤や子どもの送り迎えで毎日使うなら、新しい世代のほうが気が楽なはずです。
一方で、W168やW169の形そのものに惹かれているなら、それも立派な理由です。状態のいい個体を時間をかけて探すのが近道ですね。
旧型を「安く手に入るベンツ」として選ぶのは、少し注意が要ります。安く買えても、直すたびにお金がかかると結局高くついてしまうからです。
逆に、形が好きで手をかけるのも楽しめる方なら、旧型はとても魅力のある車です。いまの車にはない、独特のかわいらしさがありますよね。
条件を決めたら、中古車のサイトで在庫を年式や走行距離で絞ってみるのも一つの手です。
ベンツAクラス買いたいドットコム
ベンツAクラスの値段、先に相場を見ておく
今の車の買取相場と、ベンツAクラスの値引き・総額の目安を先に知っておくと、商談で迷いにくくなります。
無料今の車の買取相場を調べる※相場は年式・走行距離・状態で変わります。
Aクラスはこの先どうなる?
旧型を調べていると、『Aクラス自体なくなるの?』と気になる方もいるはずです。日本ではAクラスの販売終了は発表されていません。
本国では、少なくとも2028年まで生産を続けると報じられています。くわしい話はAクラスは生産終了でなくなる?にまとめました。
次の世代については、まだ公式の情報が少ない段階です。いま分かっている範囲はAクラスの新型・フルモデルチェンジの見通しで追っています。
旧型を選ぶにしても、現行や次の世代の流れを知っておくと判断しやすくなります。『いま旧型を買って、数年後に新しい型へ乗り換える』という考え方もできるからです。
その時に困らないよう、売る時の値段の目安も頭に入れておきたいところです。年式が古いほど、買取の値段は状態で大きく変わります。
旧型の部品の手に入りやすさも、年々変わっていきます。長く乗るつもりなら、整備を任せられる工場を先に見つけておくと安心です。

よくある質問
初代Aクラスの横転事故は日本で起きたのですか?
いいえ、1997年に北欧の自動車雑誌が行った回避テスト(エルクテスト)での出来事です。メルセデス・ベンツはESPの標準装備や足回りの見直しを行ってから販売を再開しました。
日本で売られた初代W168は危ないですか?
日本の初代は1998年の発売で、横転問題の対策を受けた後のモデルです。ただし製造から20年以上たっているので、安全面よりも部品の劣化に気をつけたほうがよいでしょう。
W169の最終モデルは何ですか?
2012年5月28日に発表された300台限定の「A 180 FINAL EDITION」です。2013年1月16日に3代目W176へ切り替わりました。
旧型Aクラスの中古で一番気をつけるところは?
変速機の状態です。W168はATの不調、W169はCVT(オートトロニック)の不調が挙げられることがあるので、試乗で発進と変速を確かめてみてください。
旧型は税金が高いのですか?
新車登録から13年を超えたガソリン車は、自動車税と重量税が上がる仕組みです。具体的な額は車ごとに違うので、販売店に確認してください。
まとめ
- 初代W168は日本で1998年、2代目W169は2005年2月に発売
- 初代は1997年のエルクテストで横転し、ESP標準化などの対策が取られた
- W169は背の高い形を受け継ぎ、変速機はオートトロニック(CVT)
- 旧型の中古は変速機と電装系、ゴム・樹脂部品の状態を現車で確かめる
- 13年超えの税金と修理代を足して予算を考える





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